奥州市南部鉄器まつりでは、毎年、組合員から新作品を募集し奥州南部鉄器展を行っております。
今年の応募総数は17作品。審査員は、長嶋 宏之氏(岩手県工業技術センター 産業デザイン部 上席専門研究員)と岩清水 康二氏(岩手県工業技術センター 素形材プロセス技術部 主査専門研究員)。
「話題賞」は、南部鉄器まつりにご来場の皆さまの投票数によって選ばれました。
■岩手県知事賞
角型猫紋鉄瓶
㈱及富
現代の技術である3Dデジタルを活用した作品であり、文様の細かさや湯口、蓋など精度の高さに驚きました。また、従来の生型製品と比較し、非常に軽く、その軽さは焼型の鉄瓶に匹敵するほどであり技術の高さが窺えます。猫好きにはたまらない猫のしぐさをうまく表現しております。欲を言うと蓋のキャットタワーにも猫がいてほしかったです。
■奥州市長賞
茶筅
下野 典行
文様押しや型の合わせ面の処理、湯口の仕上げなど丁寧な仕事が伝わってきます。かたちも非常にまとまっており、遠見では、一見、甑型のような様子であれども、近づくと茶筅をあしらった上品な鉄瓶です。輪口部分の厚みをもう少し洗練させるとより軽さが引き立ち、見た目も軽やかになろうかと思われます。
■奥州市議会議長賞
香立 心の安らぎ
及源鋳造㈱
6種の香立を拝見しましたが、特に、波や蓮の葉など、それぞれが大胆さと繊細さで良く表現されていると思います。フクロウやバナナの葉などシンプルながらもその素材とモチーフの表情をうまく捉えており、また、クジラや亀の土台を好きな場所に移動されられるアイデアも良かったと思います。
■奥州商工会議所会頭賞
鉄瓶 ねこ(丸)1ℓ
村上 怜
蓋の上に涼しげな表情をした猫が鎮座している、「カワイイ」イメージの鉄瓶と思いました。裏側を見ると肉球の跡が点々と残り、蓋までやっとこ登ってきたことも想像させます。鉄瓶本体は、一見小ぶりですが、球型により容量も確保され、使いやすさも意識しているように感じました。
■(一社)奥州市観光物産協会会長賞
省エネ 一合炊き
(有)ベルモデル
この小さな炊飯釜は、蓋、鍋、コンロの3パーツの構成ながら、アルミ製で薄い肉厚により非常に軽量になっており、少量調理器としてアウトドア用品や一人用器具として活躍しそうです。ほかにも飲食店や宿泊施設の食事提供などの業務利用でも活用されそうに思います。
■奨励賞
小鉄瓶 平丸桜
及源鋳造㈱
オーソドックスな様式かつ小ぶりでありながら、バランスの良いフォルムを持ち、桜の文様の配置も気持ち良い鉄瓶として評価させていただきました。ただ、完成度が上がると細かいところにまで目が行きますので、そうなると表面の湯じわや繕いの跡が若干見受けられましたので奨励賞とさせていただきました。
■話題賞
省エネ 一合炊き
(有)ベルモデル
南部鉄器まつりにご来場の皆さまからの投票では、こちらの作品が1位になりました!「固形燃料で作れるのがすごい。欲しい。40代・女性」「実用的で良いと思いました。ソロキャンプにも使えそう。40代・男性」「便利。使いたい。火を使えない時にいい。70代・男性」「省エネ。60代・女性」といった感想が寄せられました。
2024年10月8日